前遠後近置閏法をもっと詳しく考えてみました。

2021年2月26日

前に前遠後近置閏法について書きましたが、補足します。
前の書き込みで、方鑑大成では、以下の様に書いてありました。

五種秘竅に云く、「冬至に交わる前後の甲子を上元と為し、一白を起す。夏至に交わる前後の甲子を上元と為し、九紫を起こす。」とあり、前後の甲子とは、冬至、夏至に近い甲子の日である。二至に近い甲子の日より上元の一白あるいは、上元の九紫を起こす。これを正法とする。その例は左の通り。

冬夏二至の前後の甲子の日の遠近を計り、前に遠く、後に近い場合には、前の甲子の日より六十日の閏を置いて、甲子の日でこれを改める。例えば、冬夏二至に甲午の日が当たる時は、前の甲子の日は三十日、後の甲子の日は、二十九日の差となる。これが「前遠後近置閏の法」である。

そこで冬至・夏至が甲午に当たれば、前の甲子までは、30日、後ろの甲子までは29日だから前に遠く、後ろに近いので閏を入れなさいとしています。しかしこれだと甲子から甲子までの日数が59日になってしまいます。
そして、ポイントは実際の暦を見ると、冬至・夏至が癸巳日に当たる時に閏を入れていることです。これだと、最初の甲子から冬至・夏至に当たる癸巳日までは、29日、次の甲子までの日が31日です。また、夏至や冬至が壬辰であっても夏至や冬至前の甲子との間が29日なら閏を入れることになりますので、現代的には、冬至・夏至を基準とすると、冬至・夏至より前の甲子までは29日、後の甲子までは31日となります。つまり、冬至・夏至の前の甲子迄が29日で近く、冬至・夏至の後の甲子迄が30日で遠いとなります。

しかし、この頃の前後の考え方は今と違い、逆です。あくまで時間軸において進行方向を向いて正面が前、背中が後ろですから、今と前後の考え方が逆になります。ですから冬至・夏至が癸巳日に当たる時に閏を入れる方法の前遠後近置閏の法は、前に遠く(次の甲子まで31日でこちらが前)後ろに近く(前の甲子までは29日でこちらが後)なったら閏を入れる法と言っています。
ですから、冬至・夏至が癸巳日でも、閏を入れるのですが、甲午・乙未日に当たる場合は、通常通り閏を入れます。
但し、冬至・夏至の日が癸巳日で先に来て、直後の冬至・夏至が乙未日の場合は、癸巳の時に閏を入れたので、続けて閏は入れないとなっていると思います。
やっぱりキモは前と後の考え方です。これは郭氏元経でも言えます。

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