日の六曜と李淳風時課

2021年2月26日

六曜は、中国で発生したもので、日本へは十四世紀頃、鎌倉時代末期から室町時代にかけて伝わったと考えられています。
中国では、六壬時課とか小六壬(李淳風時課)と呼ばれ、時刻の吉凶占いに用いられていました。
これらを記した「事林広記」や「万宝全書」は、江戸時代に和刻出版されており、中国式の時刻占いとして六壬は、幕末の天保年間(1830~44年)迄行われていた様です。
その一方で、貞享年間(1684~88)頃から、日本式の日の占いへとも変化出しており、(「頭書長暦」)名称・順序・解釈とも日本独自のものへと進展して行きました。
そこで従来の時刻占いの六壬と区別する意味で、日の占いであることを表す「六曜」の名称を用られ、大安と赤口以外の名称は変更されています。
そして元禄・正徳年間(十七世末から十八世紀初め)以後に、今日の順序に変わり、享和から文化(十九世紀初頭)にかけて、今の形に落着いたと考えられます。
しかし一方、日本式の六曜が、いつ頃誰によって考え出されたかは不明であり、不定時法を用いて生活していた時代には、中国の時刻の占いである六壬は、合いませんでした。
それが、江戸時代の終わり頃から、日の六曜は、暦注書に記載される様になり、民間でひそかに流行し始めました。
そして明治六年に太陽暦に改暦されると、皮肉なことにこの六曜が「おばけ」(秘密出版の暦)の暦注として人々の間で流行し始め、第二次世界大戦後になって大流行し、現在に至っています。
※占い師の中にはこの日のい六曜だけを使って占いをしていた人もいた様です。
なお、明治五年の改暦詔書では、吉凶付きの暦注はデタラメで、よりどころがないとして禁止されましたが、これがかえって六曜の人気を高めることになったかもしれません。
それに六曜は、出し方が比較的簡単で、他の暦注に比べ、面倒な暦知識も必要ない点でも流行したと考えられます。
そして今では、暦注と言えば、六曜が主役で、殆どのカレンダーの日付の下に六曜が記されています。
では、次に時刻の占いである六曜日(小六壬)をはどの様なものでしたでしょうか?

李淳風時課
中国の唐代の司天監(天文台長官)で、「麟徳暦」という暦法の撰者であった李淳風(りじゅんほう)(西暦602年~670年)によって考案された占術ですが、主に宋・元の時代の民間に利用されました。
この占いは、何か気になることを思い立った日時(つまり時間立卦)で占う占術です。
この時、注意することは、
占機の月日時を旧暦に変える事です。
※ 占う時間を唐の長安(現在の陝西省の省都西安市)に相当する時刻と日本標準時との時差を考えるのか、日本標準時と日本の地方との時差を考慮する必要があるのか今後の研究が必要です。
大安 → 留連 → 速喜 → 赤口 → 小吉 → 空亡(次はまた大安に戻ります。)

  この順番で常に循環します。

○占い方
・先ず、上図の内、大安の位置を正月の場所として、時計回りに当月まで数えて至った場所をその月の一日の場所とします。
・次に、その月の場所から当日まで時計回りで数えて至った場所をその日の場所とします。
・最後は、その日の場所を子刻の場所として当刻まで時計回りに数えて至った場所が答えとなります。
・そしてこの六曜で吉凶を占います。

旧暦3月5日の辰刻に失せ物を占う場合
(この前に新暦を万年暦で旧暦の月日に替えて起きます)
先ず、大安を1月として当月の3月まで数えると、1月(大安)2月(留連)3月(速喜)となり、速喜に至ります。
次にこの速喜を1日として5日まで数えると、1日(速喜)2日(赤口)3日(将吉)、4日(空亡)5日(大安)となり大安に至ります。
最後は、この大安を子刻として辰刻まで数えると、子(大安)丑(留連)寅(速喜)
卯(赤口)辰(将吉)となり、結果は、小吉に至ります。
この小吉で物事の吉凶を占います。

大安(たいあん)
水に属し、青龍が事を主る。数字は、一五七、体では手足、
方位は西南が良く、東方は凶
事態はますます盛んになる。財を求めるなら坤(西南)の方にある。
失せ物は、遠くないところにある。住居は安泰。
待ち人は、まだ動いていない。病人は病状に変化はない。
事は、ひと段落して次の獲物を求めるときである。

留連(りゅうれん)
水に属し、玄武が事を主る。数字は、二八十、体では、腎臓と胃腸、
方位は南が良く、北方は凶
ぐずぐずすれば事は成り難い。計画は挫折しがちである。
希望にはまだ到達できていない。
謀を求めるには、日が明けない内に行うのが良い。
役所関係のことは、穏やかに進めるのがよい(先に延ばすと良い)。
待ち人は、まだ帰ってこない。失せ物は、巽(東南)の方にある。
急いで攻めればまさに心に叶う。口の災いに注意。
他人との争いに注意。健康は良好。病人の病状は良好。

速喜(そっき)
火に属し、朱雀が事を主る。数字は、三六九、体では、心臓と脳
方位は西南が良く、南方は凶
急に喜び事がやってくる。財を求めるなら南方に行くこと。
失せ物は方角は午未の方で、路上で出会った人に尋ねるとよい。
役所関係のことは良い。病人は病状に変わりがない。
家庭は平和で待ち人から連絡がくる。田畑や家畜は良い。

赤口(しゃっこう)
金に属し、白虎が事を主る。数字は、四七十、体では、肺と胃腸
方位は東方が良く、西方は凶
争い事が多い。役所関係のトラブルに気をつける。
失せ物はかなり探さないとでてこない。
待ち人は災難にあっている。家畜・ペットトラブルあり。
西に病人あり。他人からの恨み、伝染病に注意。

小吉(しょうきち)
木に属し、六合が事を主る。数字は、一五七、体では、肝臓と腸
方位は西南が良く、東方は凶
大いに吉の状態。商売で利益が上がる。
女性からの喜び事がある。失せ物は坤(西南)の方にある。
待ち人から手紙が届く。交渉事が強気でいける。
ほとんどのことは円満に進む。

空亡(くうぼう)
土に属し、勾陳が事を主る。数字は、三六九、体では、脾臓と脳
方位は北方が良い、葬儀場は凶
(沖犯厝地  厝:柩を停めること、未だ葬らないで、葬期を待っている状態)
煩わしいことが多い。女性が権威を押し出す。
財を求めても利益が上がらない。待ち人に災いあり。
失せ物は土の中に隠れている。(出ない)。
法的トラブルがある。病気が悪化する。
願解きをすれば、安康を保つ。
おとなしく時期が過ぎるのを待つ。
※解釈は、諸説有ります。
私は余りこの六曜は詳しくありませんが、六曜と言っても奥が深いものです。

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