鑑定盤から一歩も出ない

干干支九星の占いを研鑽する中で、最も難しく、かつ最も重要なことは何か。
それは、目の前の鑑定盤から「いかにお客さまへのメッセージを正しく導き出せるか」という一点に尽きます。

星の一つひとつの意味、あるいは十二支の象意を知識として知っている人は多いでしょう。しかし、それらがバラバラの知識として点在しているだけでは、生きた鑑定にはなりません。複数の星が示す意味が、一本の線、一つのメッセージとして繋がって初めて、鑑定盤はその真価を発揮するのです。

ここで多くの人が陥ってしまう罠があります。
星の意味がうまく繋がらないとき、占い師はつい「自分の意志」で物語を創作してしまうのです。自分の主観や好悪、あるいはその場の雰囲気で、盤面には書かれていない「作り話」を付け加えてしまう。これは非常に危険なことです。

授業などで「そのお話は、鑑定盤のどこに出ていますか?」と問いかけると、途端に黙り込んでしまう受講生がいます。これは、鑑定盤を読み解いているのではなく、鑑定盤からはみ出して自分勝手な想像を語ってしまっている証拠です。

干支九星の急所として、古くから伝わる言葉があります。
「鑑定盤から一歩も出ない」
この教えを、私たちは命に銘じなければなりません。

干支九星の占い師とは、いわば「審神者(さにわ)」のような存在であるべきだと私は考えています。神(盤面)が示している意志を、私情を挟まずに正確に伝える通訳者。そこに占い師個人の感情や余計な配慮、思い込みを混ぜてはいけないのです。鑑定盤が示す事実のみを、濁りなくお伝えすること。それが占術家としての誠実さではないでしょうか。

では、どうすれば鑑定盤から正確なメッセージを導き出せるようになるのか。
残念ながら、そこに近道はありません。ただひたすら、愚直なまでの訓練あるのみです。

私自身、かつては望月先生の本をボロボロになるまで繰り返し読み込みました。それだけではありません。数多の占例をノートに書き写し、そこに自分が気づいたこと、理解が及ばなかったこと、不足している情報などを書き加えながら、何冊も何冊も模写を続けました。
「盤面と対話する」という感覚を掴むためには、この地道な作業こそが最大の修行となったのです。

幸いなことに、現代は私の著書も含め、先達による多くの占例集が手に入りやすい環境にあります。これは学び手にとって、非常に恵まれた状況です。

鑑定盤の前に座ったとき、そこに描かれた星たちが雄弁に語りかけてくる瞬間が必ず訪れます。そのためにも、まずは「盤から一歩も出ない」という規律を守り、徹底して盤を読み込む訓練を積んでください。

干支九星に携わる皆さんが、主観を排し、鑑定盤の真実を読み解ける真の占術家になられることを心から願っています。


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干支九星

Posted by 朱烈