中国の暦の一例

日本の九星の暦は、普段私達が使っている暦で11年から12年ごとに「閏」が入る暦ですが、それとは違い、「閏」を入れない暦というのが存在しますので、それを説明します。
これは「三白寶海」に乗っている暦でどうやって回っていくのかが、謎でしたが、内藤文穏先生の「奇門遁甲蜜義」という本を入手した際に同じ暦が掲載されていましたが、それでもヒントだけしか分かりませんでしたので、それを調べて法則化したのが以下の文です。
この暦の方法を「拆補法(さっぽほう)」と言います。

陽遁三元180日
冬至後に来るはじめの甲子日から始まる60日間を上元とし、甲子日は一白を起こします。

雨水後にはじめて来る甲子日から始まる60日間を中元とし、甲子日は七赤を起こします。

穀雨後にはじめて来る甲子日から始まる60日間を下元とし、甲子日は四緑を起こします。

陰遁三元180日
夏至後は、はじめて来る甲子日から始まる60日間を上元とし、甲子日は九紫を起こします。

処暑後にはじめて来る甲子日から始まる60日間を中元とし、甲子日は三碧を起こします。

霜降後にはじめて来る甲子日から始まる60日間を下元とし、甲子日は六白を起こします。


この暦の根本原則

この方式では、以下の2つのルールが衝突したとき、必ず節気を優先します。

節気のルール  夏至から陰遁(逆行)、冬至から陽遁(順行)。

干支のルール  甲子の日に決められた星(九紫、一白など)を配する。

令和9年の例では、夏至(6月21日)が来た瞬間に、まだ夏至後の甲子の日(8月13日)が来ていなくても、計算式を「陰遁」の数式にパッと切り替えるのが特徴です。

令和9年(2027年)の「跳(ちょう)星(せい)」の仕組み

なぜ6月20日の「一白」から、21日に「二黒」へと数字が飛ぶのか、その計算ロジックを解き明かします。

夏至前(陽遁モード)

夏至の直前までは「冬至〜夏至」のサイクル(陽遁)の中にいます。

6月14日 四緑(穀雨後の甲子日)
6月15日 五黄
6月16日 六白
6月17日 七赤
6月18日 八白
6月19日 九紫(順行)
6月20日 一白(順行)

夏至当日(6月21日) 陰遁への強制切り替え

ここで夏至を迎えたため、暦の計算式が「次の甲子日(8月13日)に九紫(上元)が来るように逆算せよ」という命令に切り替わります。
すると、なぜか、毎年この甲子日の一つ前の癸亥日は四緑となります。

そして、癸亥日から夏至日まで陰遁で順番に遡っていきます。

計算

8月12日(癸亥日)から6月21日(夏至)までは、52日前です。
30-21=9,31,12 9+31+12=52

陰遁(逆行)なので、過去に遡るほど数字は大きくなります。

4+52=56 5+6=11, 1+1=2

つまり、夏至当日は二黒の日となります。

この例で「二黒」になっているのは、この方式が「夏至を過ぎた瞬間から、次の甲子の前日を四緑の日として夏至までの期間を逆算して埋める」という処理を行っているからです。

(※6月20日まで「陽の一白」だったものが、21日に「陰の二黒」になるのは、季節の歯車を無理やり陰遁側に噛み合わせた結果生じる「数字のジャンプ(不連続)」です。)

この暦(拆補法)の最大の特徴

① 節気を跨ぐときの「不連続性」

一般的な暦では九星は毎日「1→3→3」と繋がりますが、この中国式の節気重視暦では、節気の当日だけ数字が飛んだり、重なったりします。

これを中国語で「拆(壊して)補(補う)」と呼びます。

② 「甲子日」を待たずに気が変わる

「置閏法」では、冬至を過ぎても甲子が来るまでは古い季節を引きずります。しかし、この方式では「夏至になったその日から、気分はもう陰遁(秋・冬へ向かう気)」と考えます。

③ 常に「正しい星」が巡る

8月13日の甲子日に正確に「九紫」から始められるよう、逆算して毎日を割り振るため、「甲子の日」という節目の九星は必ず詩文のルール(一・七・四、九・三・六)通りになります。

結論

この暦は、「二十四節気の瞬間を、宇宙のエネルギーが切り替わる絶対の境界線」とみなし、そこに合わせて日々の九星を逆算して当てはめる、非常に数学的・天文学的な中国式九星術(拆補法)です。

一貫して「1→2→3」と数えることよりも、「その日の季節の性質(陰か陽か)」を正確に捉えることを最優先した仕組みと言えます。

6月21日(夏至)が「四緑」になる理由

まず、令和9年の6月14日が「甲子」の日であったことに注目します。

・6月14日(甲子)  この日は「穀雨」の節気の影響下にあり、詩文の「穀雨甲子為下元、起四緑」に従って「四緑・陽遁」として60日サイクルがスタートしました。

・6月14日〜6月20日  順行(4→5→6→7→8→9→1)にしたがって、計算すると6月20日は「一白」となります。

・6月22日(夏至当日)  ここで「夏至」という節気の境界線を越えます。拆補法では、節気を越えた瞬間に「陽遁から陰遁(逆行)」へ方向転換します。

【なぜ6月22日が二黒か?】
ここが拆補法の最大の特徴ですが、方向が逆転する際、数字をそのまま引き継ぐ(1の次は9とする)のではなく、「今現在の60日間(元)を支配している起点の星」に一旦リセットするというルールが存在します。
この期間(6月14日〜8月13日)は、もともと「四緑」から始まった60日間のブロックの中にいます。そのため、夏至で逆転する際に、8月12日の癸亥日が四緑日となり、そこから夏至まで逆算していきます。

・6月20日 一白(陽・順行の終点付近)

・6月21日 二黒(陰・逆行の起点として再スタート)

・6月22日 一白(逆行)

・6月23日 九紫(逆行)

・8月12日 四緑(逆行)

8月13日(甲子日)に再び修正が入る理由

先ほどの理屈からすると、「逆算すると八白になるはず」ですが、6月21日の二黒からそのまま逆行を続けると、8月13日は「五黄」になる計算になります。しかし、ここで二度目の修正が入ります。

・8月13日(甲子) この日は「夏至を過ぎてから最初の甲子日」です。

・詩文のルール 「夏至後甲子為上元、起九紫」

このルールは絶対的な「リセット命令」です。それまで「四緑」ベースで逆行してきた流れをここで断ち切り、強制的に「九紫」へとジャンプさせます。

この暦の修正の仕組み

「8月13日前に修正するのか?」は、「8月13日の甲子日になった瞬間に、そのシーズン(上元・九紫)の正位へと強制修正する」となります。

この暦(拆補法)の動きを整理すると以下のようになります。

1.節気(夏至・冬至)の当日
「順行・逆行」の方向を切り替える。その際、数字がスムーズに繋がらない場合は、その期間の「元の星」へとジャンプさせる。

2.甲子の日
「上元・中元・下元」のどの星から始めるかを決定する。節気と甲子がズレている場合、ここで数字の不連続(ジャンプ)が起きるが、それを許容することで「甲子日には必ず決められた星(九紫や一白など)が来る」という原則を死守する。

なぜこんなに複雑な修正をするのか?

中国の暦学者たちは、「天の気(節気)」と「地の運(干支・甲子)」の両方を無視したくなかったからです。

・夏至を過ぎたのに陽遁(順行)を続けるのは、天の理に反する。

・甲子の日なのに九紫以外から始まるのは、地の数理に反する。

この両方を無理やり成り立たせるために、令和9年の例のように、節気の当日と甲子の当日にそれぞれ「修正(ジャンプ)」を行う仕組みになっているのです。

冬至の場合は、冬至後の癸亥日が常に六白となり、そこから冬至まで逆算していっているので、
(6-冬至から次の癸亥までの日数)に一番近い9の倍数を加える
で算出されます。

・夏至の日の九星を算出する式
(4 + 夏至から次の癸亥までの日数)÷9=A・・・余り→この余りが九星

・冬至の場合は、
(6-冬至から次の癸亥までの日数)に一番近い9の倍数を加えて出た数が九星

となります。

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Posted by 朱烈