郭氏元経 非用術論

2022年2月3日

「郭氏元経」の中の奇門遁甲について、ブログ読者より要望がありました。
本当は、この内容は著書「郭氏元経 上中下 解説付き」に書いてある内容ですし、私は奇門遁甲の専門家でもありませんので、余り書きたくないのですが、訳あってここに特別に公開します。

まず、郭氏元経の中で「奇門遁甲」について書いてあるのは、
巻之八
・非用術篇 第六十四

巻之十
・遁甲地将篇 第七十五
・遁甲八卦篇 第七十六

の三篇です。

この内、非用術篇は、題名からして「術を用いるにあらず」としていますが、奇門遁甲の局数と神殺について書いていて、何故か、「この術は使ってはいけないよ」と書いてあるのです。

また、遁甲地将篇 第七十五は、今の遁甲とは違いますが、「以断用事之吉凶、以決今日時之吉凶」と書いてありますので、卜占的使い方をするのだと思いますが、詳細には書かれていません。
そして、遁甲八卦篇 第七十六は今の挨星法に近い方位の取り方です。

この内、非用術篇では何が書いてあるか?を詳しく見てみると、以下の様になります。

(原文)
非用術篇 第六十四

八遁之中行氣候、大冬居坎、午離分。
軒后遺文。真可秘。笑来不是等閑文。
 八門遁甲以五日為一元。三元為一氣。三氣四十五日為一節。
 冬至起坎、夏至起離。
 用度妙合天輪。蓋、縁軒轅皇帝伐蚩尤之所作也。
 吉凶應騐、合於天人。真是玄秘。
 非俗師浅薄、所能窺也。
飜来、遁甲名超接。五日一元、而用之。
以年續月、月續日。未知此法憑何依。
 後人亦以五日一元、皆用遁甲之飜局。
 来年下求月、月下求日時。妄言太歳官符、火血諸神殺。
 各随變動毫無所拠。並是差謬、不可信之。

月建官符諸五行、皆従時下逐元生。
此術誤人、君莫信。用之何異唖夫盲。

と、たったこれだけの文なのです。
そして、これの読下し文は以下の通りです。

(読み下し文)
非用術篇 第六十四

八遁ノ中、氣候ヲ行レバ、大キク冬ハ坎ニ居シ、午ト離ヲ分ケル。
軒后ノ遺文、真ニ秘ス可シ。笑来、是レ等閑文ニアラズ。
 八門遁甲ハ五日ヲ以テ一元ト為ス。三元ハ一氣ト為ス。三氣四十五日ハ一節ト為ス。
 冬至ハ坎ニ起コシ、夏至ハ離ニ起ス。
 度タビ用イテ天輪ニ妙合ス。蓋シ、軒轅皇帝ハ蚩尤ヲ伐ツ之所作ニ縁ル也。
 吉凶應騐、天人ニ合ス。真ニ是レ玄秘ナリ。
 俗師ハ浅薄ニシテ能ク窺フ所ニ非ザル也。
飜来、遁甲ハ超接ト名ズク。五日ヲ一元ニシテ、之ヲ用ウ。
年ヲ以テ月ニ續キ、月ハ日ニ續ク。未ダ此ノ法ノ憑ハ何ニ依ルカヲ知ラズ。
 後人モ亦五日一元ヲ以テ、皆遁甲之飜局ヲ用ユ。
 来ル年下ニ月ヲ求メ、月下ニ日時ヲ求ムル。妄ニ太歳、官符、火血ノ諸神殺ヲ言フ。
 各々ハ變動ニ随ヒ、毫ハ拠ル所無シ。並ビニ是レ差謬、之ヲ信ズ可ラズ。

月建、官符諸五行、皆時下ニ従リ、元ヲ逐フテ生ジル。
此ノ術ハ人ヲ誤ル。君ハ信ズル莫レ。之ヲ用イルハ、何ゾ唖夫ノ盲ヲ異ナラン。

そして、これを現代語にすると次の通りです。

(現代文)
非用術篇 第六十四
(術を用いるにあらず)

八遁の中、季節を巡れば、大冬は坎に居て、午と離は分かれる。
軒后(黄帝)の遺文は、本当に秘密にすべきである。本来これらは、無駄な文章等ではない。
 八門遁甲は、五日を一元とする。
 そして三元は、一氣とする。また、三氣四十五日は、一節とする。
 そして冬至に坎を起こし、夏至に離を起こす。
 度々用いて、天輪(月日)とうまく合わせる。
 考えてみると、(八門遁甲は)軒轅皇帝が、蚩尤を討った行いに基づいている。
 そして、(八門遁甲の)吉凶の効果は、天子も庶民も一緒であり、本当にこれは神秘的である。
 これは、普通の先生では考えが浅くて察せられる所ではない。
本来、遁甲は超接と名づけ、五日を一元としてこれを用いる。
年は月に続き、月は日に続く。
しかし、まだこの術の根拠が何であるかを知らない。
 後世の人もまた、五日を一元として、皆遁甲の局を用いている。
 来たる年の下に月を求め、月の下に日時を求める。
 そしてむやみに太歳、官符、火血の諸神殺を言う。
 またそれぞれが、時間が経つにつれ、変わって行ってしまったが、全くその根拠がない。
 これは間違いであり、これを信じてはいけない。

月建、官符の諸五行は、全て時の下より元を追い求めて生じる。
この術は、人を誤らせるので君はこれを信用してはいけない。
これを使うことは、ものが言えない夫を持つ目の見えないの妻とどう違うのか。

正直言って何を言っているのか良くわからないと思いますが、これを膨らまして行間を読んでいくのがこの本です。

まず、ここで言う八遁とは、八門遁甲のことであり、八節のことです。
大冬は坎に居て、午と離は分かれるとは、局数のことを言っています。
大冬は坎にいて、陽局が始り、午と離は分かれて、陰遁が始ります。
軒后遺文とは、黄帝が反乱を起こした蚩尤を涿鹿で殺した時に、人首鳥身の婦人の姿をした女神が西王母に遣使されて黄帝に戦法を授けたとされているもののことで、
「墉城集仙錄」では、三宮五意陰陽の略、太一遁甲六壬歩の術、陰符の機、靈寶五符五勝の文を授けるとされ、「軒轅本記」では、三官秘略五音権謀陰陽の術、陰符経三百言とを伝授され雲寶五符眞文と兵信符を授けられたとされ、「九天玄女傳」では、六甲六壬兵信の符などの諸書・諸兵具を授けたとされています。

そして、八門遁甲の局数について説明をして、根拠がないし、これは間違いであり、信じてはいけない、としています。

また、遁甲を超接と名づけていますので、「超進接気」のことを言っているのだと思います。
そして、5日で一元としています。
つまり、60時一局です。(六十刻=5日)
ただ、何故か年盤と月盤、日時盤の関連性を否定している様に見えますが、どうも閏について言いたい様です。
そして神殺について言っています。
ここで言う神殺は、太歳、官符、火血の諸神殺です。
これを見ると、局数と神殺について信じるなと言っているのか、術と言っているので遁甲自体を使ってはいけないと言っているのかは、不明です。
しかし、もしかしたら、昔から奇門遁甲は方位としては使ってはいけないとされていた部分があるのかもしれません。
何と言っても「非用術篇」ですから。
本に書いている関係で、あまり詳細には書けませんが、この章を見ると、あまり奇門遁甲は方位としては使わない方が良い様です。
これは望月先生も著書の中で結婚などに使ってはいけないと書いています。
ですから、奇門遁甲は数奇門の卜占的使用と法奇門による改善的使用というのがベターなのかもしれません。
また、「郭氏元経」はいたって真面目な本であり、ヤクザ者が書いたと言う様ないい加減な本ではありません。
約10年間隅から隅まで読んだ経験から言います。
序文にも変なことは全く書いていません。
多分、この本は、今で言う秘伝書の類だと思います。
ただ、現代では合わなくなっている部分や埋もれた部分があるのも事実ですし、色々な部分が付け加えられてしまい本来の文の意味が変わってしまっている部分もあると思います。
でもこれは、多かれ少なかれ昔の本ではあることで、写本することによって中身が変わることはあります。
だから、何が本当なのかを見極めないといけない部分もあります。
内容的には、「郭支元経」は、干支学から徐々に六壬、奇門遁甲、風水と内容が移って行きますが、微妙に関連性があります。
そして、「陰陽五要奇書」の中核を成している本が「郭氏元経」で、その後は、「郭氏元経」の使い方の様な内容です。
そして「三白寶海」と「八宅明鏡」だけが別物となっています。
また、江戸時代の日本の「方鑑」の発展に寄与した本であることは、間違えのない事実です。
そして我々は、今気学や干支九星と言った形で、それを使わせてもらっているのです。
先人達に感謝します。
そして、何故か、望月治先生以外誰もやらなかったので、私はこの本を読むことが出来ました。
ただ、私もまだまだ100%読めている訳ではありませんので、ここはこの様な解釈だということがわかれば、是非教えて下さい。
陰陽五要奇書を駄本と決めつけて、おとしめる様な良く読みもしないアンポンタンな聞くに堪えない意見ではなく、真面目な意見、解釈をお待ちしております。

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